CBDと大麻取締法


2019年3月の国会答弁にて厚生労働省は、米国食品医薬品局(FDA)が承認した大麻由来の重度てんかん治療薬のEpidiolex(エピディオレックス)を人を対象とした治験で用いることは可能であるとの見解を示し、医療大麻の可能性について公式に認めました。

同年末には、地域のてんかん治療の拠点病院に認定されている沖縄赤十字病院が、大麻成分を含む治療薬を難治性てんかんの治験で使える見通しが立ったことを明らかにしています。

大麻取締法では大麻成分を含む医薬品の施用や輸入を禁じているため、これが実現すれば大麻成分を医薬品として使う治験は国内で初めてのこととなります。

てんかん症状の最も効果的な治療薬として世界的に幅広く認知されている大麻成分(とりわけCBD)ですが、医療先進国である日本においてその治験が行われたことは過去に一度もありません。

現在、日本では大麻由来成分であるCBD(カンナビジオール)がありとあらゆる製品に含まれ販売されていますが、海外に目を向ければ、世界中で医療大麻に関する研究が毎日のように行われ、また様々な国であらゆる疾患症状に対し医療大麻が処方されています。

しかしながら、日本においては「大麻取締法」という壁が大きく立ちはばかり、大麻由来の治療薬を治験に用いることは非常に困難となっている実情があります。

ここからはCBDを切り口として、大麻取締法の法制定の経緯および米国における医療大麻の現状について要点を絞って記していきます。

大麻由来のCBD製品は違法か


2013年に初めて日本にCBD製品が輸入されて以降、今やありとあらゆるものにCBDは含まれ販売が行われています。CBDとはCannabidiol(カンナビジオール)の略で、アサ科の植物に自然に含まれる化合物の一種です。

アサ科の植物には、(産業用)ヘンプや大麻、マリファナなど様々な品種・呼び名がありますが、それらは遺伝的にも科学的にも同じ植物となります。

周知のように、日本には大麻(アサ科の植物)を取り締まる法律として「大麻取締法」というものがあります。この法律における大麻とは「大麻草およびその製品」とあり、大麻由来であるCBD製品は本来であれば本法律の規制対象となるものです。

しかし、大麻取締法には「大麻草の成熟した茎および種子から作られる製品は規制対象から除く」とあるため、その条件下で作られたCBD製品は適法となります。身近なもので言えば、七味唐辛子に含まれる麻の実や、麻素材の衣類などが例として挙げられます。

また、大麻草の代表的な化合物としてCBDに対比して挙げられるのがTHC(テトラヒドロカンナビノール)です。THCには陶酔感をもたらす精神活性作用があると言われています。

天然のTHCは大麻取締法でも麻薬及び向精神薬取締法でも規制対象ではありませんが、THCが大麻草の花や葉に多く含まれる化合物であること、またその性質が故に事実上規制対象となっています。現在、厚生労働省はTHCが微量でも検出された製品の輸入および販売を一切許可しておりません。

日本でも幅広い形で流通され始めたCBDは、広範な症状に対する治療可能性が大きく注目されており、科学的および臨床的な研究は海外を中心に数多く行われています。CBDの神経保護および神経発生作用は既に証明され、抗がん特性については米国はじめ各国の学術センターで研究が行なわれています。

WHO(世界保健機構)は2017年11月に発行した報告書の中で、CBDは公衆衛生上の問題も濫用の危険性もなく、非常に安全で、幅広い用量で忍容性が良好であると記し、その効果と安全性について論じています。

大麻にはなぜ使用罪がないのか


上記したように、大麻由来製品のCBD製品を取り扱うにあたっては、大麻取締法について把握しておく必要があります。そして、大麻取締法を見ていくといくつか不思議な点が存在することに気がつきます。

大麻取締法において、大麻の栽培、所持、譲受・譲渡等は違法行為として禁じられています。しかしながら、大麻の「使用罪」については一切明記されていません。

現に覚せい剤などの違法ドラッグはその危険性から使用に関しても固く禁止されています。その他の麻薬などの薬物も医師の適正な投与以外では禁止されており、それぐらい薬物の使用は厳しく取り締まりが行われているのが現状です。

そういった中で大麻に関してのみ「使用罪」がない理由としては、一般的には大麻農家を守るためだと言われています。都道府県知事の許可を得て大麻を栽培している農家の方々は大麻草を扱う際、無意識に大麻の成分を体内に取り入れてしまう可能性があるというのが根拠です。

しかし、危険薬物に関する他の法律に習えば、上記した大麻農家などの一定の資格がある者を例外とし、それ以外の者の大麻の栽培、所持、譲受・譲渡、そして「使用」を一切禁ずるのが自然な流れだと言えます。

また、大麻使用者の副流煙を第三者が吸引してしまった場合のことを踏まえて使用罪がないとも言われているますが、それであれば他の違法薬物に関する使用罪についても同様のことが言えると考えます。

法的根拠が存在しない大麻取締法


どんな法律にも必ずその根拠となる目的が明記されています。しかし、大麻取締法にはその法的根拠が記載されていません。

そもそも大麻取締法という法律は、戦後GHQの提案・指導のもと作られた法律です。日本が戦争に負けるとGHQは大麻の危険性を謳い、大麻の栽培を全面的に禁止するよう日本に求めました。

古来より日本に存在する大麻草は海外のそれと比べ、繊維質が多く薬効成分が少ないのが特徴であり、産業利用が主な目的であったため、大麻草の規制を求める米国の要求に対し当時の日本の政府は非常に困惑したようです。

日本由来の大麻草は、その性質上一般的に「(産業用)ヘンプ」と呼ばれる部類に入ります。食用油や衣類など実用的な用途が多いのが「産業用」と言われる所以です。

さまざまな文献にも残っているように、戦前の日本には至るところに大麻草が自生し、大麻草の栽培農家も多く、日本は大麻と非常に縁が深い国でした。他にも「印度大麻チンキ」などの生活医薬品としても日本人の身近な存在にあったのが大麻です。

「印度(インド)大麻」に関しては陶酔感が比較的強いという理由から戦前から日本の麻薬取締規則で規制されていましたが、日本古来の大麻草は規制の対象外でした。

米国の占領下にあった日本にはGHQに対抗する余地はなく、多くの大麻農家の反対を押し切る形で大麻取締法は制定されます。そして大麻栽培は多くの複雑な制約のもと免許制で存続することとなりました。

なお、本法律の制定は石油産業を日本に浸透させるための米国の産業政策だったとも言われていますが、その真意は明らかになっていません。

しかし、大麻取締法おいて「栽培の罪」が一番重いことから、この法律は大麻草の栽培を禁止することが目的だったことが推測できます。また、覚せい剤や麻薬を取り締まる法律にあるような法的根拠が記されていないことから、大麻を薬物として取り締まることが目的ではなかったことが考えられます。

米国における大麻の歴史


日本に大麻取締法が制定されるに至った背景には、当時の米国内の情勢が色濃く反映されています。禁酒法が廃止された1930年代の米国では、アルコールに代わる規制対象として麻薬が指定され、その中にはマリファナ(大麻)も含まれていました。

マリファナ(大麻)が規制対象に含まれた経緯には諸説ありますが、メキシコ革命における内戦からアメリカに逃れてきた移民がマリファナと呼ばれる大麻草を嗜好品として吸っていたことを当時横行していた人種差別と結びつけ、政治的な背景のもとマリファナの非合法化(マリファナ課税法)が実現されたと言われています。

マリファナ課税法が禁止したのは原則として「嗜好用大麻」でしたが、同じアサ科の「(産業用)ヘンプ」もその中に巻き込まれ、同じく規制の対象となりました。戦後日本の大麻草(産業用ヘンプ)が米国により規制されたのもこの米国内の情勢が少なからず影響していると考えられます。

その後「ラガーディア委員会(1944年)」や「シェイファー委員会(1975年)」と呼ばれる大麻に関する調査委員会が、大麻には依存性がなく、身体的・精神的な危険性も認められないことを米国政府に報告しますが、それらはすべて一方的に棄却され、その根拠が示されることはありませんでした。

米国では現在でも1970年に制定された「規制物質法」に従って、大麻は最も高い濫用の危険性があり、深刻な心理的・肉体的ダメージを引き起こす可能性があるものとして「スケジュールⅠ」に指定されています。

大麻に対する米国の立場


大麻をスケジュールⅠに指定している米国政府の大麻に対する立ち位置には非常に興味深い矛盾が見られます。

先に述べたとおり米国政府の見解では大麻はスケジュールⅠ、つまり「濫用の危険性があり、現在の合衆国で一般的に認可された医学的用途がなく、医師の監督下での使用においても安全性が認められてない」としています。

その一方で、政府機関の国立衛生研究所(NIH)は、大麻の医療使用に関する特許を取得しており、大麻の重要な薬効を挙げるとともに、CBDについては「強力な抗酸化作用と神経保護作用を持ち、人体に摂取されても安全」としています。

このことから米国政府による大麻の医療的用途を否定する動きは、科学的知見による見解ではなく、政治的な利権が絡んでることが容易に推測できます。

2018年に行われたクイニピアック大学の世論調査によれば、米国民の実に91%が医療目的の大麻の合法化を支持しているとされています。また実際には、昨年2019年時点では、33の州とワシントンDC、および4つの米国領に医療大麻制度が整備されています。

日本の大麻取締法の制定を提案しその内容を指導した米国内では、大麻の医療的価値を認める動きが活発化し、医療大麻の合法化へ向けて着々と動き出しています。こういった世界情勢がある中、日本が医療先進国としてどのような姿勢を示していくのかが今問われています。

おわりに


福祉大学生当時のてんかん持ちの友人や、その後の福祉の仕事に携わる中で施設を利用するお子さんが「てんかん」の症状を抱えていたことなどからCBDの情報に辿り着き、現在の事業・活動に繋がりました。

当店のご利用者さまの中にも、難治性てんかんを抱えるお子さんを持つ方がいらっしゃいます。その方とはメールの文面でしかやり取りをしたことがありませんが、CBDの摂取によってお子さんの症状が改善された旨の報告いただいた時は、自分のことのように嬉しかったのを今でも覚えています。

2018年、米国食品医薬品局(FDA)は、これまで治療が難しいとされていた「ドラベ症候群」と「レノックス・ガストー症候群」の治療のために、CBDをベースとした薬剤であるEpidiolex(エピディオレックス)を承認しました。

歴史を遡れば、これまで存在した大麻由来の医薬品を数多く確認することができますが、米国において大麻が非合法となった20世紀前半以降、大麻由来製品が公式に医薬品として承認されたのはこれが初めてのことです。

こういった米国をはじめとした世界各国の医療大麻の合法化の勢いに押され、近年日本の様々なメディアでも医療大麻の是非に関する活発な議論が行われるようになりました。

しかし、CBDという分野は科学的にも医学的にもまだ新しい分野であり、日本に初めてCBD製品が入ってきてからまだ数年しか経っていないことも含め、CBDの認知はまだまだ不十分です。

今回の記事で大麻および大麻由来のCBDについて触れていただくことで、現在日本でも合法であるCBDに対し少しでも関心を示していただけたら幸いです。

CBD通販専門店 HEMP4YOU
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